2020.11.19
アメリカで公開延期となった超問題作!久々に見た爽快なスリラーアクション。「ハンガーゲーム」や「パージ」が好きな方にきっとハマると思います。
上流階級が仕掛けたスポーツ感覚の人間狩り、その標的となった人々の反撃を描いた物語。最初の数十分間は、主人公が誰かわからなかった!物語が進み、次々と庶民階級の人が殺される中、一人だけが生き残り、この人が物凄く強い!上流階級への爽快な復讐を始まります。過激なシーンは連続するけど、そこまで気持ち悪くなく、むしろもうだんだんスカッとしてきます。庶民階級の主演の方の演技もだんだんとクセになる。
全然、予備知識なくても、予告編を見てなくても入りやすく、テンポがよく構成にも飽きず観れました。予想以上に面白かった作品です。
上流階級(リベラル)が庶民階級(保守派)を拉致し『人間狩り』。この映画のもう一つの側面は、政治的にも経済的にも極端なに極端なアメリカを風刺的に描写しています。映画では人種問題・環境問題・ジェンダー問題を気にする上流階級(リベラル)が庶民階級(保守派)をハントすることに全く罪悪感を感じていない。物語が進むと、なぜこの庶民階級(保守派)が選ばれたのかが明かされます。両者の極端さが痛烈な皮肉。
2019年9月の公開予定時期に、アメリカで銃乱射事件が2件起きてしまいました。過激な内容や残酷描写のこの映画は、このタイミングでの公開は不謹慎ということと、トランプ大統領がTwitterでこの作品を批判したこと受けて、延期が決定したそう。
物語の後半で明かされる、標的となった12人の男女が選ばれた理由。言論の自由があるとしながらも、実際に起きているSNS投稿に対する誹謗中傷。まさにこの社会問題が揶揄されていると思います。SNSの投稿、怖いなぁ〜と感じました。
ポスターにも登場している洋服を着たブタちゃん。物語のキーかと思いましたけど、上流階級が標的とする人間と共に森に放っているので、上流階級から見た庶民階級の揶揄だと感じました。ブタちゃんの最後、これもまた上流階級の自己中さが描写されているように感じました。
子供の頃に聞いたウサギとカメの競争の話。私が小さい頃に聞いた、カメが勝利をし、余裕で昼寝して寝過ごしたウサギが負けた話とは違う結末が語られ、その新しい解釈がトラウマになりそうです。ウサギがラストにも繋がっています。
「透明人間」「インシディアスシリーズ」「パージシリーズ」「ハッピー・デス・デーシリーズ」などを製作したブラムハウスの製作でした。絶妙な軽快な展開はエンターテイメント作品としても楽しめました。